湊かなえ著「告白」

今回、私がおすすめしたい小説は湊かなえ著「告白」です。

映画化もされた作品ですが、簡単にあらすじをご説明します。

この本は森口という女性教師が退職前に自分の担任クラスの生徒へ独白するところから始まります。1章まるまるが森口の語りのみで構成され、聞いている生徒の様子は森口のちょっとした言葉からしか読み取ることが出来ません。

独白の内容は、自分の娘の事故死は実は殺人だったこと、そしてその犯人はこのクラスにいること、犯人に復讐をするために退職を選んだこと、そして復讐方法について…でした。

そこから章が変わるとともに語り手も変わり、その語り手一人の視点からみた世界が書かれます。

まるでカメラが切り替えられていくように、時間は一定に流れている一方で視点が次々と変わり、どの視点で見るのが事実を語っているのか、一体何が真実なのか、読者は混乱させられます。

湊かなえ作品はこのような一人称の視点をうまく使ったものが多いです。「白ゆき姫殺人事件」や「少女」もストーリーは全く別のものですが、一人称の切り替えでその世界を描いているという点は同じです。

そして、湊かなえ作品を読んでいて、私が感じることは「どれも嘘だが、どれも真実」ということです。

「告白」の登場人物の語りには荒唐無稽なこともあります。しかし、おそらくその時はそう信じていた、あるいは信じなければ自分を保てなかったのだろうと思います。

いや、小説の登場人物なので自分を保つ、保たないは本来は関係ないのですが、本当にこういう人いるよな、と思わせる物語構成が魅力です。是非読んでみて下さい。