連城三紀彦作『私という名の変奏曲』

どういう仕掛けなのか終盤までわからない難解なミステリー小説です。連城三紀彦さんの作品はひねりが多いので、本当に最後まで読まないと仕掛けがわかりません。

あらすじは、一人のトップモデルでスーパースターの美織レイ子が自分を取り巻く人間にわざと自分を殺させる、という事なのですが、その犯人たち7人が共犯ではなくそれぞれが単独でしかも同じ方法でレイ子を殺すのです。このあらすじだけでは、クエッションマークしか出てこないと思うのですが、実際に読むと巧妙な仕掛けがあり、それが実現しているのです。

読んでいる途中は混乱しますが、最後はちゃんと仕組みが理解できてすっきり終わります。ただ、仕掛けに関してはスッキリしますが、その人物相関には複雑な思いもあり、最後は切なさも残ります。

連城三紀彦さんの作品は文章が流麗なのも特徴だと思います。キラリと光る表現が文中にさりげなく使われています。気にしていなければさらっと読みす進んでしまうのですが、そこに気付くと詩的な文章の上手さに驚きます。そんな表現がたくさん使われているのですが、くどくならずに読者が読みやすいよう書かれているのは作家の中でも少ないのではないかと思います。

レイ子が悪女として描かれていますが、中途半端な悪女ではないので、そこに魅力も感じます。私は脳内で沢尻エリカに変換されていました。人物に感情移入はしにくい作品ですが、あっとおどろく仕組みに感心すると思います。ミステリー好きな方もそうでない方もぜひどうぞ。