『シートン動物記』は意外と残酷なお話だった!?

『シートン動物記』は、古典的な位置づけがなされている作品です。児童文学に分けられる作品で、子供に読ませたい一冊に数えられることも少なくありません。

動物の内面に踏み込みながら、その描写が客観性を帯びているような印象を与えるところに、本書の大きな特徴があります。

ただし、動物と人間の関係の描き方は微妙です。人間の善意と悪意のどちらも、オブラートに包まれることなく描かれています。その顕著な例が「ジニー」という話です。ジニーと名付けられた猿は、動物園に移送される過程で酷い扱いを受け、人間に対して敵対的な態度を取るようになりました。ジニーは、その後、飼育係の忍耐強い愛情によって、人間を過度に警戒することなく、観客の人気を集めるような振る舞いをします。しかし、ジニーは観客によって刺されてしまいます。

動物園の動物をいたずらで刺してしまうというのは、ショッキングな出来事で、現在なら警察沙汰になります。しかし、ジニーを刺した男は、他の観客が騒ぐのに乗じて姿をくらまし、それ以上糾弾されることはありません。

時代的な違いだけでなく、動物が人間にとってどんな存在なのかが、日本人の感覚と根本的に違うと感じる話は、少なくありません。結末が悲しかったり、残酷だったりする話は、稀ではありません。シートンは鳥が好きだったのか、鳥が描かれている話は、結末が悲しくない話が多いと言えます。『シートン動物記』を子供に読ませるとしたら、鳥のお話がオススメです。